>トップ>ブログ「散田教室通信」
>「AI 対 教科書が読めない子供たち」新井紀子

「AI 対 教科書が読めない子供たち」新井紀子


合格速報:A君、青山学院大学大学院合格、おめでとう!
(彼は明星大学2年のときに私の講義を受け、現在4年生。夏に請われて大学院入試対策をしました。)

このように、受験対策、学校の成績を上げる対策をしますが、それはあくまで結果です。私が目指していることはもっと「大きなこと」なのです。

次の本があります。

「AI 対 教科書が読めない子供たち」新井紀子

少し前に流行りました。読まれた方も多いと思います。私も何度か読みました。
この本は必ず読んでください。散田教室のバイブルにしたいくらいです。(笑)

AIは実は「意味」が分からない。反復練習をたくさんさせている。
機械化の流れの中で、人の教育も、機械的な内容に近づいていないか?
その結果、人も機械のように「意味」が分からない人が増えている。

と書かれています。

例えば、AIは、英文法が分かりません。例文を大量に暗記させて(何億も!)しのいでいます。

文脈を読むことができないため、明らかに夏の設定のときに

Cold. I want something to drink.(寒いね。何か飲みたいな。) と書いてしまいます。

正解:I want something cold to drink.(何か冷たいものが飲みたいな。)


本当に教科書が読めない人が増えています。私は大学教員をしていてつくづく感じます。この危機感が、教室を始めた理由です。

東京工科大学学修支援員として学生たちから理系のありとあらゆる講義に関する質問を受けていますが、たいていの質問の答えは、どこかに書いてあります!

一番驚いたのは「この問題が分かりません」と見せられたプリントです。下にヒントがあるのです。確かに長いのですが、最後にほとんど答えが書いてあるのです。

「ヒント:(長い文)・・であるので、Aを計算せよ。」と書いています。とにかく、Aを計算すればよいのです。担当教員も、理由を理解することまで望んでいないのでしょう。「ここに書いてるよ。」というと「本当ですね。」となります。長い文を最後まで読めない(あるいは飛ばし読みできない)のでしょう。

科目の具体的な内容以前の話です。

何より大切なのは読解力。教科書が読めれば、自習できる。
読解力があると、中3で成績は逆転するそうです。
「ドリル的な反復練習」は無意味とのこと。

では読解力はどうやって身につけるのか?おそらく読書が大切だが、今のところ関係はわからない、とのこと。

わが教室では「なぜ?」という問いをたくさんします。
たまたま合った答えは、私のクラスでは正解になりません。
理由をきちんといえること。理屈できちんと考えること。

そのあたりにヒントがある気がします。

英語の早期教育には反対です。小学校の教科書を見ても、会話例のオンパレード。
理論がありません。私ははじめからきちんと文法を教えます。

・勉強は継続が大切。生まれつきの頭の良さなどはない。

これは私の信念です。もしかしたら間違っているかもしれません。東京大学に合格するには10年の勉強が必要です。少なくとも私は小5からずっと勉強してきました。そのまま今に至るまで勉強を続けています。東大入学後に勉強をやめる人がほとんどです。

ちなみに、著者の新井紀子さんは数学者です。私は数学者は最も教師に適していると思います。「数学」というと拒否反応を起こす方が多いですが(笑)mathematicsは「数」とは関係なくそもそも「学ぶべきもの」というような一般的な名詞です。

数学を専門に学んでいない人が数学を教えることは多いです。(ありえないですよね。医師でない人が診察するということなので。)

私の考えは逆で、数学を専門に学んだ人が他の科目を教えることは可能です。

例えば英語力に関して。数学の大学院に行けば、英語で数学の本を読み、英語で論文を書き、国際学会で英語で講演をします。もしかしたら英語の教師よりも英語に触れる体験が多いかもしれません。

また数学者は難しい「数学書」の「行間」を読む練習をするからか、「人の心」が分かる人が多い気がします。(私はどうかわかりませんが、、)

散田教室代表 
河野真士かわのしんじ
07053703866